
「狂った果実」に見る太陽族
写真の出典先はは日活100周年邦画クラシック GREAT20 狂った果実 HDリマスター版 [DVD]より。
監督 中平康
出演 北原三枝, 石原裕次郎, 津川雅彦
ジャンル ドラマ, ロマンス
昔私も青春の頃、石原裕次郎主演の映画をよく見たものだ。
♪♪おいらはドラマー、ヤクザなドラマー
おいらが怒れば嵐を呼ぶぜ、
けんか代わりにドラムとたたきゃ
恋のうさも吹っ飛ぶぜ。
なんてかっこいいんだろうと見入ったものだ。一世を風靡してもおかしくない。
兄の石原慎太郎は「太陽の季節」で芥川賞を取り太陽族ブームを起こし、
それを地で行動したのが弟の石原裕次郎だった。
「俺はやりたいことをやりたいようにやるんだ!」
戦後精神的に疲労していた日本人はこれで火がついたのではないでしょうか?
確かに死んだような魚ではなく、ピチピチと飛び跳ねていた。
後先考えずに「見る前に飛んだ」。
このような精神の高揚は大江健三郎にも見られる。
その時代にはそのような起爆剤が必要だった。
善でも悪でもエネルギーがないと始まらない。
「狂った果実」は太陽族の一つの行動だった。
純真な弟(津川雅彦)は、兄貴(石原裕次郎)から恋人(北原三枝)をとられ、
逆上した弟は純真さ故に二人に復讐する。
全くの心の余裕がない、余裕にいらぬ概念を寄せ付けない。
それがこの時代のせめてもの青春の爆発だったのだろう。